ウエイトトレーニングをしてから怪我をしやすくなった人へ——鍛え方に、「個体差」の視点はあるか
1. ウエイトトレーニングが「悪い」わけではない
最初に、はっきりお伝えします。私たちは、ウエイトトレーニング自体を良いものだと考えています。悪いものだとは思っていません。ただ、そのやり方や導入の仕方によっては、アスリートのパフォーマンスを下げかねないリスクもある——これが、この記事のテーマです。
「ウエイトを始めてから、なぜか怪我が増えた」「重量は伸びたのに、競技の動きがしっくり来ない」。もし心当たりがあるなら、抜け落ちている視点は一つかもしれません。骨格の個体差です。
2. なぜ視点が抜け落ちるのか——ウエイトの源流はボディビルディング
スポーツの世界でウエイトトレーニングが当たり前になったのは、実はそれほど昔ではありません。多くの競技で本格的に普及したのは1970〜80年代。それ以前の偉大な選手たち——たとえば全豪オープンを10回以上制したマーガレット・スミス・コートは、「ダッシュや坂道の走り込みはしたが、ウエイトはやっていなかった」と伝えられています。
そして、最初期のアスリートたちがトレーナーとして招いたのは、多くがボディビルダーでした。「アームカールで上腕二頭筋にどう効かせるか」——特定の筋肉を狙って発達させるボディビルの技術が、そのままスポーツのトレーニングの源流になったのです。
特定の筋肉を育てる技術としては、素晴らしいものです。ただしそれは、筋肥大を目的とする体系だということを忘れてはいけません。
3. アスリートの目的は「筋肥大」ではない
アスリートがウエイトに取り組む目的は、筋肉を大きくすることではありません。出力を上げること。全身の筋力を上げて負荷を分散させ、怪我をしづらくすることです。
目的が違えば、フォームの考え方も変わります。アスリートのスクワットは、ボディビルのスクワットより、むしろバッティングやピッチング、走るフォームの考え方に近いのです。受け止めた重量を、骨格上もっとも負荷が一部分に集中せず、全身で扱えるフォームで動かす——。
実際、オリンピックのウエイトリフティング選手のフォームは、選手によってかなり違います。あの世界は完全に「パフォーマンスのための挙上」であり、各選手が自分の骨格に合った、いちばん出力の出る上げ方をしているからです。
4. 筋肉は「偏って」ついていい——主導する動作は人によって違う
私たちの研究では、全身運動を主導する動作は人によって異なります。腕を後方へ引く筋発揮が全身を主導する人もいれば、前方の人も、下半身が主導する人もいる——これが16タイプの骨格の個体差です。
だとすれば、自分が主として使う筋群は、他の筋肉より多くついているべきです。トップアスリートの身体は、実は筋肉が均一についているのではなく、その選手がもっとも強く使う部分がとんがってつく、ある意味アンバランスな身体になっています。バランスよく整えるボディメイクとは、まったく別のものです。
「全員がスクワット」「全員がベンチプレス」ではなく、自分の骨格上もっとも使用される筋群を見極めて、そこをとことん育てていく。これが分かると、ウエイトはパフォーマンスに直結し、怪我の予防にも大きく効いてきます。

現場で選手の身体を触っていると、同じメニューをこなしていても、張る場所も効く場所も選手によってまったく違います。その違いを「フォームが悪い」で片付けず、個体差として読み解けるようになると、トレーニングの設計は大きく変わります。
5. 「教科書どおり」「バランスよく」——よくある考えの整理
どれも間違いではありません。ただ、「個体差」の視点を足すと、見え方が変わります。
「教科書どおりのフォームが、いちばん安全」
基本の型には意味があります。ただ、その型はあなたの骨格を前提に作られたものではありません。合わない型で重量を扱うことこそ、負荷を一点に集めるリスクになり得ます。
「全身をバランスよく鍛えるべき」
大きな偏りを放置してよいという意味ではありません。ただ、競技で使う部分は競技の中でも鍛えられます。パフォーマンスに直結するのは、あなたのタイプが主として使う筋群です。
「重量が伸びれば、競技も伸びる」
出力の土台として重量は意味を持ちます。ただ、その挙上が自分の連動と切り離された「別の動き」になっているなら、competitionの動きには乗ってきません。数字と競技をつなぐのは、個体差に合ったフォームです。
6. 何から始めるか
ウエイトをやめる必要はありません。始めるべきは、自分の骨格タイプ——主導する動作と、主として使う筋群——を知ることです。それが分かれば、種目の選び方も、フォームも、優先順位も、あなた仕様に変わります。
- ウエイトを導入してから、怪我や違和感がむしろ増えた
- 種目もフォームも、チームメイトと同じメニューをこなしている
- 特定の部位だけが極端に張る・効きすぎる
- 挙上の重量は伸びたのに、競技の動きがしっくり来ない
- 「このフォームが正しい」と言われると、合わなくても続けてしまう
7. よくある質問
ウエイトトレーニングをしてから怪我が増えました。やめるべきですか?
アスリートも、筋肉はバランスよくつけるべきですか?
スクワットやベンチプレスは、全員が同じフォームでやるべきですか?
- HURECアスリートチャンネル「ウエイトトレーニングをしてから怪我をしやすくなった人へ」(動画)
- 株式会社HUREC「骨格・動作タイプ検査」資料(2026)
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本記事は、株式会社HURECの研究・実践に基づく一般的な情報提供であり、特定の症状の診断・治療を行うものではありません。強い痛みや急性の外傷がある場合は、医療機関の受診をご検討ください。

