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スランプ骨格の個体差

長期スランプに陥るアスリートに共通するパターン——「変えたこと」が、原因になるとき

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著者:アスリート再生プログラム「リスタート」(運営:株式会社HUREC)
研究監修:伊藤 龍平(株式会社HUREC 代表取締役)
医療監修:高村 武光(はり師・きゅう師)/烏山 司(スポーツ内科医)
公開日:2026.7.6
最終更新:2026.7.6
結論:長期スランプに苦しむアスリートには、共通するパターンがあります。それは、怪我や壁などの挫折をきっかけに、動きを「大きく変えた」こと。良かった頃のあなたは、自分の骨格に合った動きができていました。ズレは、実は数%かもしれません。この記事では、スランプが生まれる構造と、抜け出す考え方を解説します。

1. スランプとは何か——原因の見えないパフォーマンス低下

しっかり練習している。やる気もある。真剣に取り組んでいる。それなのに、やった分が返ってこない——良い時の感覚、良い時のパフォーマンスから低下したまま、抜け出せない。

怪我で練習を積めていないなら、まだ説明がつきます。しかし、怪我からは復帰し、練習量も積み、毎日熱を持って取り組んでいるにも関わらず、明らかに良い時と比べて低下した感覚のまま戻れない。この「原因の見えない低下」こそが、長期スランプの正体です。

2. 調子が良かったとき、身体では何が起きていたのか

私たちは10年以上、「骨格の個体差」を研究してきました。人によって骨格は異なり、その骨格にとって最も自然な姿勢・歩き方・走り方は、人それぞれ違う——現在はこれを16のタイプに分類しています。

この研究の視点から、ナショナルレベル・プロレベル・世界レベルで活躍した経験のあるアスリートを見ると、はっきりした共通点があります。本当に調子が良かった時期は、自分のタイプから見て自然な動きが、高いレベルでできているのです。

つまり、あなたの「良かった時」は偶然ではありません。100%ではないにしても、自分の骨格にかなり合った動きができていたから、良かった。そしてスランプの状態は、多くの場合、ここから外れています。

3. スランプに陥る、2つの共通パターン

トップアスリートの現場に関わるトレーナー・治療家・指導者が、共通して口にすることがあります。スランプに陥るきっかけは、大体「挫折した時」だということです。典型的なパターンは2つあります。

パターン1:大きな怪我をきっかけに、変えた

大きな怪我でキャリアが一度止まる。その時に「この原因は、自分のフォームや動きが良くなかったからではないか」と考え、今までとは全く違うものへ、大きく変えてしまう。回復して戻ってきた時には、良かった頃の自分の動きが、どこかへ消えている——。

パターン2:壁をきっかけに、変えた

順調に勝ち上がってきたのに、あるところで頭打ちになる。たとえば100m走で10秒3まで来て、9秒台がどうしても見えない。「あと0.2〜0.3秒を縮めるには、根本的に変えないと絶対に届かない」——そう考えて、抜本的な変更に踏み切る。その結果、自分の一番自然な動きからズレてしまい、何が正解か分からなくなる

※ いずれも個人を特定しない、現場で繰り返し見られる一般化したパターンです。

4. 「ズレ」は、実は数%——90点を捨てていないか

ここで、冷静に考えてみてください。10秒3と9秒99は、競技の世界では天と地の差です。しかし物理現象としては、0.3秒の差です。

10秒3まで到達している時点で、その動きのすべてが間違っているはずがありません。100点満点なら、すでに85点、90点は取れている——そうでなければ、あり得ないパフォーマンスです。これはどの競技でも同じです。プロのレベルで活躍できたなら、その動きは「合っていた」のです。50点でプロとして活躍できる世界は、どの競技にもありません。

ズレていたとしても、それは数%のズレです。ところが、怪我や壁に直面すると、それが30%も40%もズレているように感じてしまう。そして90点の動きを手放して、ゼロから作り直そうとしてしまう——これが、長期スランプの最も惜しい構造です。

高村 武光
高村 武光医療監修|はり師・きゅう師

スランプで来られる選手の身体を診ると、痛みや故障がなくても、良かった頃と比べて動きの質が変わっていることがほとんどです。本人は「感覚が消えた」と言いますが、身体の側から見ると「動きが変わった」——この整理ができた瞬間に、表情が変わる選手を何人も見てきました。

5. 「今までが間違いだった」は本当か——よくある考えの整理

スランプの渦中では、次のような考えが自然に浮かびます。どれも間違いではありません。ただ、「個体差」の視点を足すと、見え方が変わります。

「今までのやり方が、間違っていた」

見直す姿勢は大切です。ただ、そのやり方で活躍できていた事実は消えません。全否定して作り直すより、「どの数%がズレたのか」を特定する方が、はるかに近道であることが多いのです。

「一流選手のフォームに近づけるべきだ」

優れた選手から学ぶことには価値があります。ただ、その選手とあなたでは骨格が違います。その選手にとっての自然な動きが、あなたにとっての自然な動きとは限りません。私たちの分類では、同じ競技のトップ選手でも、タイプは大きく分かれます。

「気持ちの問題だ」

メンタルの影響は確かにあります。ただ、動きが本来の形からズレたままでは、どれだけ気持ちを立て直しても、身体の側の違和感は消えません。「感覚が戻らない」の背景に、動きの変化が隠れていないか——先に身体の側を確かめる価値があります。

6. 鍵は「骨格の個体差」——戻ることは、後退ではない

骨格は、遺伝子レベルで先天的に決まっています。いわば、最初に配られたカードです。そして、そのカードに合った動きこそが、あなたが最も力を発揮できる動きです。

良かった頃のあなたは、そのカードに合った動きが自然にできていた。だとすれば、スランプを抜け出すヒントは、新しい何かではなく、良かった時の動きの中に隠されているのかもしれません。

「戻る」と聞くと、後退のように感じるかもしれません。しかし、自分の骨格に合った動きへ戻ることは、あなたの最適へ戻ることです。それは後退ではなく、最も確実な前進です。

7. 抜け出すために、何から始めるか

最初の一歩は、自分の骨格タイプを知り、良かった頃の自分の動きを、個体差の視点で見直すことです。何を変えるべきで、何を変えてはいけなかったのか——その線引きができるだけで、迷いの総量は大きく減ります。

セルフチェック|あなたのスランプは「ズレ由来」かもしれないサイン
2つ以上当てはまる場合、原因は努力不足ではなく、合っていた動きからのズレかもしれません。自分の骨格タイプを知ることが、あの精度を取り戻す起点になります。

8. よくある質問

練習量は落としていないのに、なぜパフォーマンスが戻らないのですか?
怪我で練習を積めていないなら低下は説明できますが、積んでいるのに戻らない場合、原因は量ではなく「動きの方向」にある可能性があります。良かった頃に無意識にできていた、自分の骨格に合った動きからズレているケースが少なくありません。
スランプを抜けるには、思い切ってフォームを変えるべきですか?
必ずしもそうではありません。プロのレベルに到達している時点で、動きの大半は合っています。ズレは多くの場合ごく一部です。大きく変えるより、良かった頃の動き——自分の骨格に合った動き——に戻す方が近道になることがあります。
「今までのやり方が間違っていた」と感じています。
その競技で結果を出せていた事実は、動きの多くが正しかった証拠です。100点満点なら、すでに85点や90点は取れていたはず。全部を捨てるのではなく、どの数%がズレたのかを特定することが、再現への第一歩です。
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著者:アスリート再生プログラム「リスタート」
運営:株式会社HUREC

「骨格の個体差」を10年以上研究してきた専門家集団HURECが運営する、プロアスリートのための再生プログラム。研究にもとづき、怪我・不調・スランプ・加齢に悩むアスリートの「合った動き」の回復を支援している。

伊藤 龍平
研究監修:伊藤 龍平
株式会社HUREC 代表取締役

医師・理学療法士・鍼灸師、トップアスリート指導者など身体の専門家で構成される研究団体HURECを組織し、10年以上にわたり骨格の個体差(先天的特質)を研究。その研究から「骨格動作タイプ」を16種類に体系化。各種競技のオリンピックアスリート、日本代表選手、などからも多くの支持を受ける。

高村 武光
医療監修:高村 武光
はり師・きゅう師/連動性シニアトレーナー

高校時代に脊椎分離症を経験し、リハビリをきっかけに医療の道へ。森ノ宮医療大学で鍼灸師(国家資格)を取得。サッカー・ソフトボール・テニス・パデルなど複数競技の日本代表を含むアスリートのトレーナーとして活動する一方、変形性股関節症・膝関節症など高齢者の症状にも対応。骨格の個体差にもとづく"連動性トレーニング"を修め、現行最上位資格「連動性シニアトレーナー」に認定される。医療専門職の育成も行う。

烏山 司
医療監修:烏山 司
スポーツ内科医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

スポーツドクターとしてアスリートの内科的サポートに従事し、株式会社HURECの医学顧問を務める。自身も高校時代にソフトテニスでインターハイに出場するなど、スポーツに高い関心を持つ。フルマラソンは2時間34分(市民ランナー上位0.5%)で完走。

出典・参考
  1. HURECアスリートチャンネル「長期スランプに陥るアスリートに共通するパターン」(動画)
  2. 株式会社HUREC「骨格・動作タイプ検査」資料(2026)

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私たちHURECは、このプログラムに本気で取り組んでいます。「もう一度」と本気で願うあなたとなら、根本から、最後まで一緒に歩けると信じています。
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本記事は、株式会社HURECの研究・実践に基づく一般的な情報提供であり、特定の症状の診断・治療を行うものではありません。強い痛みや急性の外傷がある場合は、医療機関の受診をご検討ください。